53歳責任世代が浦添市の新しい明日を創る! 松本哲治「百花繚乱日記」ブログ

まつもとてつじのドタバタ市長奮闘記

十勝ワイン物語

十勝ワイン物語

 昨年末に販売した浦添の桑の実ワイン「ミュール・ドゥ・ソレイユ」。実はこのワイン、北海道池田町の十勝ワインさんに製造していただいている。そのお礼に去る2月、氷点下11度で見渡す限り白銀の北海道を訪ねた。
 今ではすっかり有名な十勝ワインであるが、1950年代には十勝沖地震とその後連続した冷害による凶作は池田町に壊滅的な被害をもたらした。この逆境の下、当時の町長が自生する野生の山ぶどうをヒントに1960年に大きな賭けに打って出る。町長発案で、素人役場職員と地元の農家とでブドウ栽培と町営ワイン醸造という壮大な挑戦に着手したのだった。元々この十勝地方は冬期の極低温と乾燥から通常の栽培方法ではぶどう樹が枯死してしまうため、ぶどう栽培には適さない土地とされ、何度も失敗と挫折を繰り返す。旗振り役の丸谷町長は「ほら吹き町長」と批判され、自宅前には枯れたぶどう樹が山のように捨てられたとの逸話も残っている。
 それでも職員をヨーロッパへ派遣して学ばせ、寒冷地に適したぶどうの品種改良と研究を続けた結果、2万種を超える交配種の中から奇跡的な突然変異がもたらした2品種を生み出し、50年もの試行錯誤を繰り返しながら現在は池田町を支える基幹産業へと大きく成長し、NHKのプロジェクトXでも取り上げられている。
 今回の訪問では、真っ白な雪で覆われたぶどう畑から、ワイン樽が並ぶ醸造所やワイナリー、歴史を物語るビンテージワインが並ぶ地下貯蔵庫など、醸造研究に関わる池田町職員が自ら丁寧に説明をしてくださった。池田町ではワインだけでなくブランデーも製造しており市場で高い評価を受けている。樽から直接取り出した琥珀色の自慢のブランデーをグラスに注ぎながら、「ここまでのブランデーになるまで30年はかかります。30年前の先輩達の想いがこもったこのブランデーたちに今の私たちは支えられています。だからこそ、30年後の後輩達に叱られない様な仕事をしなくては、といつも心掛けています」と謙虚に話してくれた。その言葉と微笑みには、未来を見つめる公務員としての誇りと確かな腕の職人としての自負心、その両方がにじんでいた。

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Posted by 松本哲治 at 2019年03月11日   06:27
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