53歳責任世代が浦添市の新しい明日を創る! 松本哲治「百花繚乱日記」ブログ

まつもとてつじのドタバタ市長奮闘記

家で暮らすということ

今、東京の研修所にいる。
ここで寝泊りしながら約1ヶ月の研修に参加している。

ここでの生活は何一つ不自由はない。
テレビ・トイレ・バス付き冷暖房完備の立派なシングルルーム。
週に一度のシーツ交換、お掃除も来てくれる。
食事も贅沢言わなけりゃ毎日あるし、パソコンもインターネットもプリンターも自由に使える。
洗濯機も乾燥機も無料で24時間使える。
研修内容もしっかりとお膳立てされているし、スタッフもいつも笑顔でサポートしてくれる。
同じ研修生たちもみんな愉快でいい奴ばかりで楽しく充実した毎日を過ごしている。

本当に何一つ不自由はない。

それでも、2週間を過ぎたあたりから無性に家に帰りたくなる。
家族が恋しくなる。
自宅のベッドで眠たくなる。
職場の仲間や友人たちに会いたくなる。

この帰りたくなる理由について、一人、夜中に考えている。

前にも書いたが、ここでの生活には何不自由を感じているわけではない。
週末は自由だし、東京の友人に会ったり、ちょっと遠出をしたりと、秋の東京ライフも楽しんでいる。

しかし、それでも、自宅が恋しいのはなぜなのだろう。

「そんなこと当たり前だろ、ここはお前のお家じゃないんだから・・・」
そうなんだよな、帰りたいのは普通で、当たり前で、当然のことなのだ、僕にとっても、いや、誰にとっても。

「お家に帰りたい」これは、施設や病院で暮らす人たちがよく口にする言葉だ。
僕らのような介護の仕事をしている人にとって、よく耳にする言葉だ。
でも、僕は本当にその言葉を「思い」として聞いてきただろうか。
その言葉を「願い」として「祈り」として、そして、時には「叫び」として受け止めてきただろうか。

研修所の部屋で、真っ暗で静かな部屋で、僕はもう一度、自分に問い直している。
このままで二度と帰れない自分の生活を想像してみる。
自分ならゾッとする。

誰がどれほど優しく明るく完璧に接してくれたとしても、僕の「帰りたい」という思いは変わらないだろう。
自宅に帰ること以外の一切全ての要求を施設側が受け入れたとしても、僕の心は満たされないだろう。

もちろん、中には自宅での生活よりも施設生活を選ぶ人もいる。
望みながらも、残念ながらどうしても家に帰れない事情の人もいる。
悲しいことだけど自宅自体が既にない人もいる。

でもね。
それでもね。
僕らはどれほど謙虚に彼らに接してきただろう。

「仕方がないね」
「だって、どうしようもないじゃん」
「面倒みてあげる」
「預かってあげている」

介護の仕事って、誇りのある仕事だけど、同時にとても悲しい仕事なんだと思う。
うまく伝えられないけど、この悲しみがわからなければ、本当のケアに近づけないような気がする。
この寂しさがわからないと謙虚にこの仕事に向かえない。

「帰す」ことができなくても、「帰れない」ことの途方もない孤独感に、心が共振できる自分でありたい。

「家に帰りたい」
「お家で暮らしたい」

そんな言葉の意味を、もう一度、一人考えている。
真夜中の真っ暗な部屋で、一人考えている。

この気持ちを考えるために、僕はここに導かれたのかもしれないと・・・。


Posted by 松本哲治 at 2007年12月09日   21:10
Comments( 10 )
この記事へのコメント
てっちゃーん・・・

実はね、大阪の実家の母が、つい最近入居する筈だった
近所の老人施設の契約を・・・突然解約したところなんです!
『やっぱり一人でも、元気なうちは自分のおうちが一番いいんだよー』って・・・

80歳過ぎて、最近だんだん弱気になってくる母。

今一番の課題は、沖縄に住みたがらない(冷房の苦手な)
たった一人の母を大阪に残したままにしている事。

母が毎日淋しく、たった一人の生活を大阪でしているのが
不憫でならないのですが・・・

阪神大震災で仮設住宅のお年寄りのお宅を巡回し、不都合がないかを
チェックするボランティアを毎週末していた時に、

帰る家がなくて(潰れてしまって)、ご近所だった仲間のお友達
と会えないことが一番辛いと、話し相手になっている私を
ひきとめる姿が哀しくて・・・何度ももらい泣きした事があります。

>うまく伝えられないけど、この悲しみがわからなければ、本当のケアに近づけないような気がする。この寂しさがわからないと謙虚にこの仕事に向かえない。

>「帰す」ことができなくても、「帰れない」ことの途方もない孤独感に、心が共振できる自分でありたい。

今、泣きながら、このコメントかいてるよ!

無力な私には実の親さえ満足に世話できないけど・・・
てっちゃんには、皆さんの心に応えられる、
大切な気持ちをたくさん養ってほしいと思います。今以上に・・・

バージョンアップした貴方に再会できるのを楽しみにしております!
長くなってごめんね♪
Posted by サファイア玲子こと河合玲子 at 2007年12月10日 01:14
老いる事って誰しも初体験で、まさか家で暮らせなくなるなんて思ってないですよね。近頃本当の人権ってなんだろう?と自問しています。昨日テレビで80歳を超えた在宅診療医師の話しがありましたが、今の世の中がそうさせているのか?病気なら入院して家では暮らせないなんて…それを支える地域を作っていかねばなぁと思います。まとまらない文章で失礼いたします。お松さん研修がんばってくださいね。私もいつの日か参加できますよ〜に願いつつ。
Posted by mana at 2007年12月10日 12:39
お松さん。

今、とってもいい経験をしていますね!
確かに寂しくなりますよね?

それが、利用者の心に続く感情なのですね?

これを感じる事が出来たなら、これからもさらにいい行動が出来ますね!

私は、添乗などで息子と離れると・・・いてもたってもいられなくなります。
息子も『お母さん!』と家で言葉にしているようです。
この【切ない思い】を感じ取れるお松さんはスゴイと思います。

今後の活動に期待しています!
Posted by いっく at 2007年12月10日 14:03
 まったく同感!

 自宅から離れて住まわざるを得ない利用者さんは、不便、不安、不満を感じられる方が多いかと思います。

 介護者が良かれ、と思ってやっていることが、いつの間にか介護者の自己満足に変わり、利用者さんの真に願う、対応、ケアになっているのか?常に忘れずにいたいと思います。

 自分自身が体験して初めて分かる・・・・、いつも利用者の目線、利用者中心でケアを考える大切さをひしひしと感じます。

 お松さま、いっぱい吸収して、さらにパワーアップしてお帰り下さるものと確信しております。

 フレーフレーオ・マ・ツ         アホな先輩より
Posted by まんたろう at 2007年12月11日 11:14
こんばんは!兄弟そろそろ帰ってきてくれ!!
俺が悪かった頼む帰ってきてくれ!!
なっ、そして空港で東京バナナの新種も。。
冗談ですが・・。それにしてもこんなに時間が
経つとやはり寂しいすっね!
でも、プロ育成のそのまたプロの特訓なので
しっかり学んでください。

僕の祖父母は百歳を越え現在もホーム。
入所当時は涙を流し帰りたいと僕に訴えたこと忘れられない。
僕もしばらく落ち込んで自分を責めました。

言葉で表現は難しいです。
いつもありがとう。
Posted by まっつぐまっつぐ at 2007年12月11日 19:28
松本さん こんばんわ

私は 名古屋で介護事業所をやっています。
老人介護より障害者自立支援を主とし、児童デイサービスを開いています。

沖縄には 父母が健在で、82歳になる父は 毎週1回のデイサービスを楽しみにしているそうです。
福祉に携わりながら、両親のそばにいられないのが ちむぐるしいです。

どうか 沖縄の おじーおばーのために頑張ってください。

私のブログのお気に入りにいれてもいいですか?
Posted by moco at 2007年12月13日 18:22
河合さん、
いつもコメントありがとう。沖縄は暖かいですか?
僕はもう少し寂しい東京生活を頑張ります!

manaさん、
今度は君の番だぞ。でも、そっちはたぶん東京センターじゃなくて、
大津(名古屋)センターかも。ネットで調べてみてね。

いっくさん、
僕も子どもたちに会いたいよ~!

まんたろうさん、
先輩?誰でしょう。

まっつぐさん、
帰ったら飲みに行こ!

mocoさん、
はじめまして、ですよね。コメントありがとうございます。
僕らも障害者自立支援もやってます。僕らは訪問なんでが、
児童デイもやりたいね、といつもみんなで話しています。
今度、名古屋でお会いしたいものですね。
「お気に入り」もちろん、どうぞ、どうぞ。
にふぇーでーびる!!
Posted by お松 at 2007年12月14日 10:57
調べたところ、私はどうも仙台らしいです。お松さんもう少しで研修も終了ですか?もうひと頑張りしてくださいね。来年も研修は続くんですか?私は包括にあと2年残る事にしました。(脱非常勤は叶いそうです)
Posted by mana at 2007年12月14日 17:17
まっつぐさんのお気に入りからおじゃましました

私も介護老人ホームで仕事をしておりますがお年寄りの”家に帰りたい”の言葉  本当に心が痛くなります

日々頑張らねばと 元気いただきました
またお邪魔させていただきます
Posted by ku- at 2007年12月17日 23:22
ku-atさん、
ようこそ。一緒に頑張りましょう!時々立ち寄ってコメント下さいね。
Posted by お松お松 at 2007年12月20日 19:27
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