53歳責任世代が浦添市の新しい明日を創る! 松本哲治「百花繚乱日記」ブログ

まつもとてつじのドタバタ市長奮闘記

夏にせかされて

「ひだまり通信」4月号のコラム「百花繚乱日記」より

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「夏にせかされて」

年の暮れの十二月から年明け一、二、三月は、僕にとって毎年辛い季節である。
会社を辞める人は、大体この季節に去っていくからだ。今年も四名の社員が去っていった。

僕が経営者になって最も辛いのは、この社員の退職である。
人によってそれぞれ背景が違うが、それがいかなる理由・事情であっても、
辛いことであることに変わりはない。

僕自身、経営者になるまではわからなかった。

社員の退職は、ちょうど妻に別れを言い出される離婚に似ていると思う。
誰であれ、多かれ少なかれ経営者は、この会社で幸せになって欲しいと願って雇入れる。

採用が決まってからも、
若い人なら若い人で「人様の子を預かる責任」を、
家庭を持っている人ならその後ろにいる「家族まで背負っている責任」を、
子どもを持っている母親なら女性が子育てと仕事を両立できる職場環境を作る「社会的責任」を、
ずっしりと両肩に感じながら、必死に給与を払い雇用している。

だからこそ、去っていかれる時は、いかなる理由であろうとも、どんな言い訳しようとも、

「結局、僕では幸せにしてあげられなかった」

という忸怩(じくじ)たる想いはどうしても残ってしまう。

一人ひとり幸せになって欲しいと強く願えば願うほど、その反動で別れの時は、なおさら辛く苦しい。

 社員 「ちょっとお話があるんですが、時間ありますか? 」(既にその時点で凹んでいる)

 社員 「これお願いします」(と言いながら、退職届けを差し出す)

 僕  「そうかぁ・・・、また次の職場で頑張れよ。今までありがとう」(これが精一杯)

ここ沖縄では、もう既に冬は終わり、短い春を追い越すように、夏の足音が遠くから聞こえてくる。
風が夏の匂いを、気配を抱いて迫ってくる。

僕はこの季節が好きになった。

夏にせかされて、風が空が緑が僕を押してくる。
海に行けば、碧い海原の向こうから湿った潮風が否応なしに夏を押し付けてくる。
僕の気持ちなんかお構いなしに、春までも押しのけて、夏が迫り来る。

また、あの夏が、この島にやってくる。

冬が去っていくのも、夏がやってくるのも、誰も止められない。

だから、また顔を上げて前を向いて歩きだそう、初夏の風に背中を押してもらいながら・・・晴れ


Posted by 松本哲治 at 2007年04月03日   17:04
Comments( 2 )
この記事へのコメント
 以前読んだ本で、「退職者の90%以上は人間関係」と書いてあったが、当たっているような気がする。
 上司、仲間、部下、社長・・・・会社の人数は多くても少なくても、抱える悩みは同じと思う。 

 私も一応管理者なので、退職者が出ると淋しいし、管理能力の無さを痛感する。
 
 もちろん、個人の問題もあろうが、社員が話せる限り、会社として出来る限り、雇用関係ではなく人間として、問題解決を図り、前向きに楽しく仕事をして欲しいと願っている。

 私は、スタッフと定期的に「ど~ですかタイム」と称して、喫茶店等でリラックスしながら意見、要望、苦情、愚痴などを聞く機会を設けているが、それでもなかなか本音は出ない。
 自分の話したことが、相手にバレないか、他言されるのではないか?

 相談するほうも勇気と覚悟が居る。

 上司として傲慢になってないか?、不公平な対応をしていなかったか?
 振り返る良い機会になりました。

 日頃からの信頼関係の積み重ねと、自分自身管理者、人間として高めて行きたい。

 
Posted by まんたろう at 2007年04月08日 17:20
僕も反省して頑張りま~す!
やっぱり春はいいねぇ。
Posted by お松 at 2007年04月09日 09:36
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