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小さな島の大きな分裂
先日、地域の小さな夏祭り会場で考えさせられる体験をした。
地元の市長として参加した私はお祭りの主催者から挨拶を求められた。ごくありふれた日常的な行為である。ところが、その週末は去る8月8日に翁長雄志沖縄県知事が逝去した後、最初の週末であった。そこで、私は挨拶の冒頭で会場のみなさまへ黙祷を呼びかけた。
「私たち県民が選んだ翁長雄志県知事が先日、在職中にお亡くなりになりました。彼の安らかなご冥福を祈り、哀悼の誠を捧げるために少しだけお時間を頂き、ご協力下さい」
そんな趣旨の説明をした後、一分間の黙祷を会場の全員で行った。
ところが、その行為に対してクレームをつける男性が現れた。彼の主張は「沖縄県を混乱させた翁長知事に対して祭りの場で全員に黙祷を強要するとは何事か。頑張っていると評価していたのに、今夜の市長にはがっかりした」とのことだった。「そうでしたか、これは、これは」とその場を誤摩化しながら、次の会場へと向かった。
今度は別の会場でも行った黙祷の後、全く別の男性から全く逆の視点からクレームを受けた。彼の主張は「翁長知事の命を奪ったのは君たちじゃないか。彼と対立してきた君なんかに今頃になって翁長知事の冥福など祈って欲しくない」とのことだった。その場も「そうでしたか、これは、これは」と誤摩化すしかなかった。
それでも、私はその日の晩に回った数カ所の夏祭り会場の全ての挨拶の中で、黙祷を捧げた。実に考えさせられる、“今”の沖縄を象徴する不可解な体験だったとは思うが、私は全員で捧げたあの沈黙の時間を今でも後悔はしていない。いつでも、どこでも、いつまでも行える行為ではないし、彼の死後最初の週末だからこそできた黙祷だったと思う。黙祷の趣旨も前述した内容以上でも以下でもない。
これが今の沖縄なんだな、と少し悲しくもなったが、何よりも、あの日、何十人もの人たちからかけて頂いたあたたかい感謝の言葉が心強かった。
「黙祷よかったよ、ありがとう」
「バタバタしててすっかり(黙祷のこと)忘れてたさぁ、ありがとう」
「彼のこと忘れないようにしないとね、ありがとう」
私たちは不毛な対立感情や極端な思想に引きずられずにしっかりと沖縄としての道を、いや、人としての道を歩いていかなくてはと、締めくくりの花火を見上げながら思った。
地元の市長として参加した私はお祭りの主催者から挨拶を求められた。ごくありふれた日常的な行為である。ところが、その週末は去る8月8日に翁長雄志沖縄県知事が逝去した後、最初の週末であった。そこで、私は挨拶の冒頭で会場のみなさまへ黙祷を呼びかけた。
「私たち県民が選んだ翁長雄志県知事が先日、在職中にお亡くなりになりました。彼の安らかなご冥福を祈り、哀悼の誠を捧げるために少しだけお時間を頂き、ご協力下さい」
そんな趣旨の説明をした後、一分間の黙祷を会場の全員で行った。
ところが、その行為に対してクレームをつける男性が現れた。彼の主張は「沖縄県を混乱させた翁長知事に対して祭りの場で全員に黙祷を強要するとは何事か。頑張っていると評価していたのに、今夜の市長にはがっかりした」とのことだった。「そうでしたか、これは、これは」とその場を誤摩化しながら、次の会場へと向かった。
今度は別の会場でも行った黙祷の後、全く別の男性から全く逆の視点からクレームを受けた。彼の主張は「翁長知事の命を奪ったのは君たちじゃないか。彼と対立してきた君なんかに今頃になって翁長知事の冥福など祈って欲しくない」とのことだった。その場も「そうでしたか、これは、これは」と誤摩化すしかなかった。
それでも、私はその日の晩に回った数カ所の夏祭り会場の全ての挨拶の中で、黙祷を捧げた。実に考えさせられる、“今”の沖縄を象徴する不可解な体験だったとは思うが、私は全員で捧げたあの沈黙の時間を今でも後悔はしていない。いつでも、どこでも、いつまでも行える行為ではないし、彼の死後最初の週末だからこそできた黙祷だったと思う。黙祷の趣旨も前述した内容以上でも以下でもない。
これが今の沖縄なんだな、と少し悲しくもなったが、何よりも、あの日、何十人もの人たちからかけて頂いたあたたかい感謝の言葉が心強かった。
「黙祷よかったよ、ありがとう」
「バタバタしててすっかり(黙祷のこと)忘れてたさぁ、ありがとう」
「彼のこと忘れないようにしないとね、ありがとう」
私たちは不毛な対立感情や極端な思想に引きずられずにしっかりと沖縄としての道を、いや、人としての道を歩いていかなくてはと、締めくくりの花火を見上げながら思った。
Posted by
松本哲治
at
2018年08月22日
07:59
Comments( 4 )
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この記事へのコメント
初めまして、松本市長。ぶしつけなコメントお許しください。
先日完成したての西海岸道路からカーミジー付近の干潟へ下り、まだまだ生きている自然に感動しました。キンザーがあって今まで行けなかった所がこんなにいい所だったとは大変驚きました。景色に感動して、しばらく那覇軍港移設のことをすっかり忘れてしまい、数日経って思い出し、今更ながら愕然としています。そして、現行案と浦添市の案を比較して、私は市長に対しての認識を改めました。正直、公約を転換した時、そして翁長知事や那覇市長と対立する姿をみてなんなんだと思い怒りを覚えました。私は那覇市民ですが、浦添の海に軍港を移設させるのに大変心苦しさを感じます。埋めてせず移設などしない方がよいのですが、それがかなわないなら埋立面積の少ない浦添市案を是非実現させて欲しいと思います。長々と失礼いたしました。
先日完成したての西海岸道路からカーミジー付近の干潟へ下り、まだまだ生きている自然に感動しました。キンザーがあって今まで行けなかった所がこんなにいい所だったとは大変驚きました。景色に感動して、しばらく那覇軍港移設のことをすっかり忘れてしまい、数日経って思い出し、今更ながら愕然としています。そして、現行案と浦添市の案を比較して、私は市長に対しての認識を改めました。正直、公約を転換した時、そして翁長知事や那覇市長と対立する姿をみてなんなんだと思い怒りを覚えました。私は那覇市民ですが、浦添の海に軍港を移設させるのに大変心苦しさを感じます。埋めてせず移設などしない方がよいのですが、それがかなわないなら埋立面積の少ない浦添市案を是非実現させて欲しいと思います。長々と失礼いたしました。
Posted by T.F at 2018年10月26日 12:59
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