53歳責任世代が浦添市の新しい明日を創る! 松本哲治「百花繚乱日記」ブログ

まつもとてつじのドタバタ市長奮闘記

それぞれの春

ひだまり通信5月号「百花繚乱日記」より転載

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「 そ れ ぞ れ の 春 」

僕の友人が経営する会社が倒産した。

ここ二年ほど厳しい経営状況の中で何とか盛り返そうと、あの手この手を使って頑張っていたところに今回の東日本大震災が引き金となり決心したらしい。起死回生のプランが吹っ飛んだということだった。自分の給与も殆どないに等しいところまで削り、社員にも頭を下げて給与を減らしてもらい、横から見ていても痛々しい程に必死で努力していた。

復活を信じて走り回っていた彼の口癖は

「社員を首にしたくない」

「しばらく辛抱していれば、きっと景気は良くなる」

だったが、そんな口癖と言うよりもほとんど自分に言い聞かせている呪文のようなあのセリフも、残念ながら今では聞けなくなってしまった。

去っていく社員の一人に「経営者失格」と言われたこと、それでも借金の全ては彼が背負って生きていかねばならないこと、家族を沖縄に残して一人で本土での住み込みの仕事に出かけることなどを話してくれた。彼が感じている悔しさ、悲しさ、情けなさ、孤独感、失望感、世間の冷たさなどがよくわかりすぎて、かけてやれる言葉が僕にはなかなか見つからなかった。

僕は介護の業界は恵まれている方だといつも思う。景気に左右されにくい産業構造なためにリーマンショックの時もあまり影響はなく、今回の震災だって被災しなかった沖縄の介護業界ではほとんど影響がないと言っていいだろう。それでも、いつ落っこちるかわからない細い刃の上を歩いている中小企業経営者なら、僕の友人のような話は他人事ではないし、明日は我が身の話なのだ。いつでも首をくくれるように生命保険に入っていると言っていた別の経営者の話を思い出した。

「家族がいて、命があるだけ幸せだよな・・・」
と、彼はぽつりとひとりごちた、やっぱり自分に言い聞かせているように。

「元気出せよ、俺がお前の借金なんか返してやるよ」
本当にそう言ってあげたかった。出来ることなら、彼にそう言って肩を叩いて、かっかっかっと笑い飛ばしてやりたかった。

もうすぐうりずんの季節。

例年になく、今年は夏が待ち遠しくて。


Posted by 松本哲治 at 2011年05月09日   09:41
Comments( 2 )
この記事へのコメント
元気があれば何でもできる。
生きていればどうにかなる。
明けない夜はない。
どんなにつらくても目を閉じて息を吸って眠りましょう。
目がさめれば、ほら明日は来ているよ。
Posted by 松っちゃゃんの at 2011年05月10日 00:20
松っちゃゃんの様、

コメントありがとうございます。
「元気があれば何でもできる」
確かあのアントニオ猪木師匠も言ってましたね。
彼に夜明けが、明日が早く訪れますように。
Posted by 松本 at 2011年05月11日 08:50
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