53歳責任世代が浦添市の新しい明日を創る! 松本哲治「百花繚乱日記」ブログ

まつもとてつじのドタバタ市長奮闘記

入学式と老人

昨日は、小学校の入学式だった。
うちの息子も小学校1年生になったので、妻と参加した。

かわいいピカピカの一年生たちが、おめかしして、大きなランドセルを担いでいる姿や、
大きな声であいさつしたり、歌の途中であくびをしていたりと、
本当に見ているだけで微笑ましくなる光景に春の訪れを感じた。

一緒に参加しているお父さんやお母さんたちもスーツ姿やネクタイできれいにして、
中にはおじいちゃん、おばあちゃんも一緒に参加して、みんなで記念写真を撮っている家族もいた。

入学式を終え、各教室での説明が一通り済むと、それぞれの1年生たちはそれぞれの家族と一緒に、
お花でいっぱいの校庭を抜け、飾られた校門をくぐって帰って行った。

両親の笑顔とたくさんの子どもたちのちょっと誇らしげな表情が印象的だった。

小学校を後にして僕らも自宅に向かって歩いていると、
僕らの先を一人の老人が歩いていた。

よく見ると、長い棒を肩に担ぎ、その両端には大きな袋が下げられていた。
反対側の手でも大きな袋を、引きずるようにして、運んでいた。

近づくと、それは拾い集めた空き缶だった。

帽子をかぶってはいたが、見えた後ろ髪は真っ白だった。
ホームレスではないと思うが、履き潰したスニーカーや破れたズボンが、
決して裕福ではないことを物語っていた。

80歳くらいだろうか、曲った背中に汗が滲んでいた。

入学式に集う晴れ姿の子どもたちとその家族。
その華やかな集団に抜かれてとぼとぼと歩く老人。

時折立ち止まってはゴミ置き場をのぞき空き缶を探していた。

両親に両手を握ってもらい高い高いをしてもらう子どもたちと、
拾った空き缶の袋で両手をふさがれてた老人のコントラストに、
僕の胸は少し痛んだ。


彼が子どもの頃には、どんな入学式だったのだろうか?

彼も参加しただろうか?

ご両親もご一緒だっただろうか?

その後、どんな人生の紆余曲折を経て、彼は今、空き缶を拾い生きているのだろうか?



僕が詮索してもどうしようもないことを考えながら、彼の横をすり抜けた。

おなかすいたと騒ぐ息子に手を引かれながら、
「お疲れ様です」と心の中でつぶやいた。

そのお昼、僕は腹いっぱい食べる気には、
なぜだかなれなかった。


Posted by 松本哲治 at 2009年04月09日   21:21
Comments( 2 )
この記事へのコメント
息子さん

入学おめでとうございま~す(^O^)/

入学式を終え
買い物に来ていた
親子をスーパーでみかけ思わず微笑んでしまいました

入学式だから
好きなお菓子かってあげるって…お母さんほのぼのでした

老人…
何故か父と重なりました

缶拾いをしていたわけじゃないけど…

父は幼くして母親を
亡くして小学校に入学した時寂しかったと話してたから…

私の子供には
寂しい思いさせるな
体は大切にしなさい
子供達の為に絶対長生きしなさいって………ずっと言っていたから…

手をひいてくれる人も無く寂しい幼少期

そんな父も
寝たきりから奇跡的な回復を見せ歩く為に 一生懸命リハビリしてましたが

先月…様態が急変し
他界しました


入学式と言えば
いつもニコニコ
道行く親子を眺めていた父を思い出します
Posted by ドルフィン at 2009年04月09日 21:48
ドルフィンさん、

お久しぶりです。そうですか、先月だったのですね。
お父様の経験から生じた教えの大切さがよくわかるような気がします。
平和な日本の豊かな時代に生まれたこの幸運に感謝しています。

ドルフィンさんをお父様がいつも天国から見守っているかもしれませんね。
ご冥福をお祈りいたします。
Posted by 松本哲治松本哲治 at 2009年04月10日 09:56
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